松坂肉牛協会が「松坂牛」と認める「A5」「B5」等級の肉とは、どのような品質なのだろう。判定は、日本食肉格付協会の基準に従って、協会職員が枝肉を検査して行う。等級は、アルファベットで示された「歩留まり」と、数字で表された「肉質」についての「格付け」で決まる。歩留まりとは、決められた部位にどれだけ食べられる肉を備えているかを意味し、その部位の面積や厚み、重さなどを測定し、計算式に従って判定する。AICの三ランクあり、Aは歩留まりが標準より良い肉を、Bは標準の肉を指す。一方の「肉質」は5−1までの五ランク。▽一定の部位の霜降りの多さ▽肉の色と光沢▽肉の締まりときめ▽脂肪の色との四つの要素で構成し、それぞれを目で確かめ、対照表に従って分類、そのすべてが「かなり良い(多い)」と判定されなければ、最上級の「5」等級は得られない。こうしてみると、A5、B5等級は、かなりの狭き門といえる。全国で平成八年四−十一月の八ヵ月間に格付けされた雌の和牛は計約十三万八千五百頭。このうち、A5の割合は一〇%、B5は一・一%にとどまる。ただ、味は判定の要素に入ってはいない。このため、霜降りの度合いが高過ぎて味のバランスが崩れている場合もまれにあるといわれるが、関係者の格付けへの信頼は揺るがない。「A5、B5なら、おいしい肉である率が高い。だからこそ、値段も張るわけです」(東京食肉市場の大動物事業部長)。格付けを終え、松坂牛と名乗ることを許された枝肉には、その証明として同協会の判が押される。こてが付いた鉄製の判には、松坂の生んだ国学者・本居宣長に由来する鈴形の縁取りがあり、その内側に「松坂牛」の文字が刻まれている。こては協会から委託された同食肉市場(東京都港区)と地元の三重県松坂食肉公社だけに置かれている。害にならない青色の塗料を含ませ、一頭当たり計十四ヵ所に押される。これぞまさしく「太鼓判」なのだ。